【<ペット>売れ残った犬猫の悲しい運命を知っていますか】毎日新聞 を見て
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161029-00000011-mai-life
殺処分問題の根本的な問題は、記事にある通り、「大量生産・大量販売」のビジネスモデルにあると思います。
「殺処分0」と声高に叫ばれていますが、現状としては、どうも「殺処分0」という言葉が一人歩きしていて、実質的な問題は避けられてる、認識されていないような気がします。
ペットの殺処分数
(環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況 をもとに筆者作成)
データを見てもわかるように、ペットの殺処分数は大きく減少しています。
これは非常に素晴らしいことです。今後も引き続き減少していって欲しいですね。
しかし、ここで注意して欲しい点は、
殺処分数字の=動物愛護センター で亡くなった数
ということです。
これはつまり、動物愛護センター以外で亡くなっているペットの数は含まれていないということです。
2013年9月に動物愛護法が改正されたことで、動物愛護センターは、動物取扱業者(ブリーダー・ペットショップなど)から、ペットの引き取りを拒否することが出来るようになりました。
ペットの引取数も大幅に減少していますね。
これは野良犬の減少や上記の法改正による影響が大きいと思います。
ペットの引取数
(環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況 をもとに筆者作成)
つまり、現在の「殺処分」の対象先は、
・飼い主さんが持ち込んだペット
・迷子になったペット
・野犬や野良猫
のみを示していることになります。
記事にあるような、動物取扱業者が生み出した、売れ残ってしまったペット達は含まれていないのです。
「殺処分問題」の根源は、冒頭でも書いた通り、「売れ残りが発生してしまう、大量生産・大量販売のビジネスモデル」にあるのです。
自治体は、動物取扱業者のビジネスモデルには目を向けずに、飼い主さんたちが飼っているペットや、野良のペットのみを監視対象としているということです。
ペットの殺処分が減少している大きな要因は、NPO法人さんやボランティアさんの力によるところが大きいと思います。
ペットの譲渡数
(環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況 をもとに筆者作成)
広島県や神奈川県では、動物愛護センターで殺処分されそうなペットは全て引き取っている団体も存在しています。
動物愛護のリテラシーの高まりや、ボランティアさんたちの頑張りにより、数年後には「殺処分0」は数字上達成されると思います。
しかし、それで満足してはいけないと思うんですよね。
殺処分問題というと、どうしても「保護犬」・「保護猫」に関心の的が行きます。もちろん、保護犬や保護猫の譲渡を促進することは大事です。
もっと大事なことって、根本的な問題は動物取扱業者が生み出している、売れ残ってしまったペット達を減らし、最終的には、売れ残りを0にすることだと思うんですよね。
つまり、売れ残りが発生しないビジネスモデルに変革することです。
今回の記事にあるように、売れ残ってしまったペット達は、「引取屋」に連れていかれて、実質的には飼い殺しにされています。
「引取屋」の存在自体は法律違反ではないんですよね。劣悪な環境でペットを飼育することは法律違反ですので、記事にあるようなケースは有罪になると思いますが。
引取屋のような存在がないとなりたたない、市場環境、ビジネスモデルて異常ですよね?
本当はブリーダーさんと消費者が直接繋がって、注文してから繁殖活動を行なっていくことが理想だと思うんですよね。
今回の記事のように、本質的な問題を取り上げているニュースがもっと増えれば良いなと思います。
ペットを題材にしたものって、だいたいが良い側面のものばかりなので、たまには、本記事のように、しっかりと実態を伝えることもメディアの役割としては重要ですよね。